一歩足を出そうとした時、足がフラついて壁側に倒れそうになった。
「優月ちゃん、大丈夫?」
村上さんはそう言って立ち上がろうとした。
その声で他の人たちが一斉にこちらを向く。
「だ、大丈夫です」
私はそう言って体制を整えて“アハハハ”と笑った。
「優月?大丈夫?」
そう声をかけて私の側に来てくれたのは静香さんだった。
「大丈夫、で……」
そうだ、敬語はダメだったんだ。
危ねぇ、もうちょっとで敬語使うとこだったよ。
「大丈夫、大丈夫。ウーロン茶で酔っぱらったのかなぁ?ちょっとトイレに行って来るね」
「ついて行こうか?」
「いやいや、一人で行けるから大丈夫よ?」
「そう?」
「うん」
私は笑顔でそう言ってフラフラしながら個室を出た。



