きっかけは何だったっけ?
昼休みだというのに教室の超アリーナ席で、ぼっちでいるアイツ。
成宮理世(ナリミヤ リセ)――。
名前だけはカッコイイ。
えっ?芸名?と思うほど。
でも実際は……。
今時、ありえないくらいの分厚いレンズのメガネをかけて、寝癖だらけのボサボサの髪で、前髪は目元を隠すくらい長くて……。
一見、ヲタクに見える。
彼女いない歴イコール年齢、みたいな。
二次元の女の子にしか興味ありません!みたいな。
でも成宮がマンガを読んでるとこなんて見たことないし、そんな話を聞いたこともない。
周りの騒音にも動じず、いつも数字やらアルファベットやらが散りばめられたわけのわかんない難しい本を俯き加減で無表情で読んでいる。
そんなアイツには彼女がいる。
それは二次元じゃなくて三次元の誰もが羨ましがる可愛い彼女が。
それは間違いない。
だってアイツの彼女は、この私だから。