ケーキを口に入れたまま顔を上げる。
「あっ……」
思わず声が出た。
あずもビックリした顔をしている。
だって、そこに立っていたのは成宮と一緒にいた女の子だったから……。
「なに?」
冷たくそう言い放つ私。
「このお店の前を通ったら先輩が見えたので……」
女の子はニッコリ微笑んだ。
「だから何?なんか用?」
「私、さっきまで成宮先輩と一緒にいたんです」
えっ?
成宮の言ってた用事って、この子と会う事だったの?
「神崎先輩と成宮先輩って付き合ってるんですよね?」
「それがどうかした?」
「ここじゃ何ですから外で話しません?」
「ケーキ食べたらね。外で待ってて?」
私はそう言ってケーキを口に運んでいく。
「じゃあ、駅の裏にある◯◯公園で待ってますから。必ず来て下さいね」
女の子はそう言って笑顔を見せる。
何、この余裕の笑顔は……。
なんかムカつく。
「はいはい」
私は女の子の目を見る事なく、そう言ってアイスティーを飲んだ。
女の子は私たちの前を通り、カフェを出て行った。