「お兄ちゃんね、中学の時に酷いイジメに遭ってて……」
「えっ?」
私の頭に、あの2人の顔が浮かんだ。
金髪で短髪と黒髪で長髪のあの2人。
「いつか自殺しちゃうんじゃないかって思うくらいで……」
さっきまで笑顔だった真世ちゃんの顔が悲しそうな顔に変わっていった。
「それから全く笑わなくなって、自分の殻に閉じこもるって言うのかな……。誰とも話そうとしなくて、いつも1人で……。多分、誰も信用出来なかったんだと思う」
だから?
だから、成宮は学校でもいつも1人で無口で誰とも接触しようとしないの?
「でもね……」
「ん?」
「去年の冬だったかな……。お兄ちゃんが徐々に笑うようになって、たくさんいろんな話をしてくれるようになったのって……。それまで家族にもあまり笑顔を見せなかったし、話さなかったからビックリしちゃった」
真世ちゃんはそう言ってクスリと笑った。
去年の冬って、私と成宮が付き合い始めた頃?



