「散らかってるけど、どうぞ?」
成宮はそう言って部屋のドアを開けた。
何、この緊張感。
成宮じゃん。
成宮の部屋に入るだけじゃん。
なのに、この緊張感。
まるで初めて出来た彼氏の部屋に入るような感じ。
「お邪魔します」
私は成宮の部屋に入った。
6畳ほどの畳の部屋にベッドと勉強机、本棚があるだけのシンプルな部屋。
本棚には難しそうな本がズラリと並んでいる。
「適当に座って?」
成宮はそう言って、エアコンのスイッチを入れて簡易テーブルを出してきた。
私は簡易テーブルの前に座る。
「お茶、淹れてくるね」
「い、いいよ。成宮はベッドで寝てなよ」
お茶を飲んで行かない?と言われて部屋に上がったけど、よく考えたらケガしてる成宮にお茶なんか淹れてもらえないよ。
だからって私が勝手によその家のキッチンを使うわけにもいかないし。
「でも……」
「いいから!早く寝て!」
成宮はベッドに寝ることなく、ベッドの縁に腰掛けた。



