「それからは祖父母が親代わりになってくれて、自分の娘が蒸発した負い目もあるのか、いろいろ尽くしてくれてるんだ」
「だから迷惑かけたくないの?」
「うん……」
「じいちゃん、ばあちゃんはいつも俺にゴメンなって謝るんだけど、俺はなんとも思ってないんだけどね。逆に優しくしてくれる祖父母に感謝してるくらいだよ」
「そっか……」
「うん」
これ以上、私は何も言えなかった。
成宮が家族に迷惑かけたくない心配させたくない気持ちを優先させてあげようと思ったから。
「あ、図書館、行けなくなっちゃったね」
成宮はそう言ってクスリと笑った。
「いいよ。別に……。課題は何とかするし……」
「ゴメンね」
「成宮?帰って寝た方がいいよ」
「うん、そうする」
成宮はフラフラしながらベンチから立ち上がった。
危なっかしいなぁ。



