人混みの中を走り続ける私と成宮。
あの2人が追いかけて来てるのかどうかもわからない。
成宮が花火大会のメイン通りから路地裏に入った。
走るスピードを少しだけ落とす。
しばらく行くと、小さな神社の前に出た。
さっきの賑やかな場所とは違って、人も全くいなくてシーンと静まり返っている。
ただ聞こえるのは私と成宮の息遣いだけ。
神社の階段に並んで座る。
「ゴメン……」
そう言った成宮は項垂れていた。
私は無言でウーロン茶を成宮に差し出す。
「ありがとう」
「それ飲んで落ち着きなよ」
私はアイスティーの蓋を開けて一気に飲む。
カラカラに乾いていた喉を潤した。