成宮は私の手首を掴んだまま階段を上がって行く。
少し早歩きに。
私は落としそうになるペットボトル2本を必死で抱えていた。
「成宮!待てよ!」
後ろからそう言いながら追いかけてくる2人。
さっきまで“くん”付けで呼んでたのに。
後ろから聞こえる声は怒号に近い。
「神崎さん……ゴメン……」
成宮は呟くようにそう言うと、さっきよりも更に私の手首をしっかり掴んで走り始めた。
「えっ?ちょ、ちょっと成宮?」
私の言葉に成宮は何も答えることなく、私の手首を掴んだまま走り続ける。
引っ張られる形で私も走る。
でも浴衣だから走りにくい。
もー!何なのよ!



