そして、自分の左手にも同じように指輪を作り、綾ちゃんの耳元で何かを言う大雅さん。

その言葉に綾ちゃんは何度も何度も頷いて涙を流し、周りからは温かい拍手が聞こえ、幸せな空間が広がっていく。


その中で、今度はマコさんが指輪を作り、朔也さんの指と自分の指へとアルミホイルを巻き付けた。

ニコニコ顔でピースするマコさんに、朔也さんは呆れた顔。
だけどそれでも、指輪を外すことは無く、私を見て僅かに微笑んだ。




「マコさん、私にもアルミホイルちょーだい」


そう笑ったのは、優ちゃん。

マコさんからアルミホイルの箱を受け取った優ちゃんは、顔を真っ赤にして戸惑っている健吾さんの指と自分の指へと、お揃いの指輪をはめる。

そして…――、




「“お兄ちゃん”」




――…おどけた顔で、龍輝さんへとアルミホイルの箱を投げた。




「…マジすか」


困惑した顔でみんなを見回す龍輝さんは、ニヤニヤと笑う大雅さんに促され、私を見る。


ドキ ドキ ドキ....


鼓動が速まり、顔が赤くなるのを感じながら龍輝さんを見つめ続ける。


「じゃあ、えっと…今はまだ、こんなものしかないけれど。
でも、必ずお前を幸せにする。 いや、一緒に幸せになっていこう」

「…はいっ」


私の左手の薬指と、龍輝さんの左手の薬指。
お互いの指にリングを通し、歓声と拍手、笑い声…たくさんの幸せを感じながら、私たちはみんなに笑顔を見せた。