「アルミホイルを捻って指に巻いとけば?」

「………」


けらけらと笑う大雅さんに、私と龍輝さんのため息がかぶる。


「…さすがにそれは、無しだな」

「無しですね…」


…まったくもう。
大雅さんの悪酔いには困ったものだ……って、あれ?
大雅さん、お酒じゃなくてオレンジジュースを飲んでる。


「あの、大雅さん。
今日はお酒、飲んでないんですか?」

「ん? あぁこのあと仕事行くからね。
マスターに事情話して、2時間くらい時間貰ったんだ。
話のわかる人…っつーか、あの人こういうハッピーなことが好きな人だから。
ビバ、特別待遇ー」

「あ…そうだったんだ…」


大雅さん、バーでの仕事があったのに、私たちのために…。


「あのっ…無理させちゃって、ごめんなさい」

「んや、“全員で”ってのは俺も思ってたから。
昔さぁ、学園祭で龍輝と真由ちゃんが舞台に上がって色々やったじゃん。
そん時も俺らは一緒だったから、“龍輝がプロポーズする時はまた全員一緒なのかな”って漠然と思ってた。

で、その通りになったってワケ。
いやー、単純馬鹿はほんっと単純で面白いねー」


と楽しそうに笑い、大雅さんはオレンジジュースを一気に飲み干した。


「だけど、あの時よりもメンバーが増えてるってのは予想外だったかな」


言いながら、綾ちゃんとマコさんを見る。


「…でもまぁ、みんな幸せそうに暮らしてるから、これはこれで良かったのかもね」


チラリと私を見たあと、大雅さんは綾ちゃんのところへと行く。

そして、
アルミホイルで作った指輪を、綾ちゃんの左手の薬指にそっとはめた。