「学校の中とか、休みの日とか…いつも一緒に居て、色々な話をして笑って、本当に楽しい時間でした。
でもだからといって、“今”が楽しくないわけじゃないです。
…龍輝さんと二人で過ごしてきた日々は、辛いことや悲しいこともあったけど、それ以上に楽しいことや嬉しいことがありました。

私たちはきっと、これから先もそうやって過ごしていくんだと思います」


…色々なことを考え、色々なことを話し、色々なことをしていく。
それは楽しいことだけじゃなくて、辛いこともあると思うけど。
それでも私たちは、決して離れない。




「…私は一生、龍輝さんのものですから。
だから龍輝さんも、一生、私のものでいてください」






それを聞いた龍輝さんは、ピタッと足を止めたけれど、振り返ることはなかった。

だけどそれでも、繋いだ手にはグッと力が入り、僅かに見えた横顔は、微笑んでいるようだった。




「…ありがとう」




そう言ったあと、龍輝さんはまた歩き出し、彼と手を繋いでいる私もまた、ゆっくりと歩き出す。


言葉は無く、お互いの顔を見ることも無い。

それでも私たちは、繋いだ手を離すことなく、お互いをしっかりと感じながら歩き続けた。