そう言った私に、龍輝さんは小さな笑みを浮かべた。


「なりたいモノが無くたっていいと思う。
俺は“誘われたから入った”だけで、今になってようやく目標が出来た。
そういうのでもいいんじゃない?」

「…うん」


「いろんなこと経験して生きていけば、きっと“何か”を掴む。
だから焦るな。 目標が無くたって、“何か”は必ずあるんだから」




ぽんぽん、と頭に手を置いた龍輝さんは、天井を見つめながらまた小さく笑う。




「お前はお前らしく進めばいいんだよ」

「…はい」


…私は私らしく進む。

私のペースで、私の道を…。






「まぁ、お前が辿り着く先はわかってるけどな」

「…え? どうしてですか?」


「だってお前は…――、」




ふ、と龍輝さんの唇が頬に触れる。

その唇が耳元へ移動して、甘く切ない声となる。




「――…お前は一生、俺のものだから」


「あ…」




「俺と居るだろ?真由」




…龍輝さんの声が、瞳が、真っ直ぐに私を見る。

……答えはもちろん、




「はいっ…!」


イエス以外には無い。