春って出会いと別れの季節ってよく言うけど、
あたしには出会いってもんがない。

もちろん別れも。


そんな寂しいあたしの人生。



やっと見えてきた光。


なんと今日からあたし、櫻木 美桜は
花の高校生になる。

本気で死ぬかもって思うぐらい
必死で勉強して受かったこの学校。

制服が可愛かったからって必死になったあたしは
バカなのしんない。


鏡の前に立つこと20分。
やっぱ高校生だし、
ちゃんと着こなさなきゃっていう一心で
さっきから格闘中。



次は化粧。
濃すぎず、薄すぎず…

春休み中頑張ってメイク術をマスターしたから
あたしにしては、上出来。
一人満足していると、

あっ、今何時だ!?と思い、時計に目をやると
もうすぐ8時。あと15分しかないじゃん。
初日から遅刻なんかあり得ないし!!


あたしは急いで学校へと向かった。



「はぁーっ、間に合った。」

ギリギリ間に合った。


んでもせっかく整えた髪はボサボサ。


あたしの髪は色素が薄く長い。
それを毛先だけ巻いている。

回りを見渡すと、金髪だったり、黒髪だったり…
とにかくいろんな人がいる。


ウキウキって気持ちもあったけど…
それ以上に不安が大きい。

中学まで施設でずっと育ったあたしは
それだけで変な目で見られて
友達さえ出来なかった。

そんなにめずらしいんですか?って感じだけど
まぁそこは我慢だよね。

大事なのは今。


運命の人に出会えるかな、なんて考えてたあたしは
この先に待ち受けている大きな出会いがあること
なんて…考えもしなかった。