大げさに息を吐き出し、紘哉は近くのテーブルに向かった。
皆の行動を把握しなければ、分かるものも分からなくなる。
そんな紘哉に構わず、恵一は得意気に袋から何かを取り出した。
「じゃじゃーん!俺の手放せないものです!!」
「花形さん、未だにそんなの使ってるんですか……」
恵一が取り出したのは、一昔前のMDプレイヤーだった。
まだ現役らしく、ちゃんと作動している。
「さぁ、愛しのプレイヤーちゃん!俺のために頑張ってくれ!」
彼は先ほど事件現場で回収したMDをプレイヤーに入れ、ボタンを押した。
何の曲が入っているのかと、期待して待つ。
しかし、何も聞こえてこない。



