「お前……線条痕すら知らないのか……」
「知らなくて当然だよ!だって、私は一端の華の輝かしい女子大生だもん!」
「お前じゃねぇよ」
羽兎のボケにツッコミを入れる気も失せた。
恵一は不思議そうな顔をするだけで、何も喋らない。
紘哉はこめかみに指を当て、静かに話し出した。
「線条痕と言うのは、いわば銃の指紋だ。銃を撃った衝撃で、弾丸にも傷がつく。その傷のことを線条痕と言う。
線条痕は、銃一つ一つで形が違う。だから、判明する事ができる」
「なるほどね!と言うことは……」
「中村さんを殺害した凶器は、近くに落ちていた銃で間違いないと言うことだ」



