こちらミクモ探偵事務所5


「お父さんのせいで……私、すっごい苦労してるんだよ!?」

「いや、そんなこと言われても……」

声の感じから千尋だと判明できる。
しかし、また小声になってしまったので聞こえなくなってしまった。

もっと話を聞こうと、恵一がドアの鍵穴に耳をつける。
それを引き剥がそうと、紘哉と羽兎が彼の肩をつかむ。

己の利益しか考えていない輩。
ドアの前で、無言の争奪戦が始まった。

なかなか決着が着かず、三人の体力は徐々に削られていった。

二人を押し退け、紘哉が耳をつけたその時。

「誰かがこっちに来る……!」

ドアの向こうから、こちらへ向かってくる足音が聞こえた。