小さく頷き、二人のアリバイを頭の中で咀嚼する。
そして、彼は何かを思い出したように顔を上げた。

「そう言えばお前、何か言おうとしてたことがあったよな?」

「うん。変な音が聞こえたって言いたかった」

「どんな音だったんだ?」

「破裂音。でもね、何か遠くから聞こえてきた感じなの。だから一応、花形さんに言っておいた方がいいかなって」

「そうなのか」

「今思えば、そんなに騒ぎ立てる事じゃなかったね」

カラカラと羽兎が笑う。
反省する気は無いようだ。

「まぁ、俺達には中村さんを殺す動機なんて無いし……
取り敢えず、聞き込みに行きましょう!」

恵一が立ち上がる。
二人は彼をポカンと見上げ、小さく頷いた。