「何でそうなるの!?」

最初に沈黙を破ったのは羽兎だった。

「だって、みどりさんには中村さんを殺す動機がないよ!ドーキが!」

「……お前はいつも俺の意見を否定したがるんだな」

「紘哉さんに似たんだよ」

羽兎が嫌味ったらしく言う。
紘哉は顔をしかめ、ため息をついた。

「動機は……信夫さんを守るためですよ」

「ハァ!?」

「ここでさっき置いといた、信夫さんに掛けられた麻薬密売の容疑が関係してきます」

順を追って説明する。
ここからは確たる証拠がない上、一か八かの賭けに出るしかない。

「話によると、中村さんは規則に厳しい人だったそうですね。もし、麻薬密売が発覚したら、告発するに違いありません。
だから、信夫さんは中村さんを殺そうとした」

「でも、殺せなかったんだよね?」