「花形さん、大丈夫ですか?」

羽兎が恵一に近寄り、その肩を揺さぶる。
恵一は彼女になされるまま、呆然と口を開いた。

「頑張ったとか、ここまでよくやったとか言ってくれるかと思ったのに……」

「俺がそんなこと言うような奴に見えるか?」

遠くから紘哉が言葉を掛ける。
恵一はキッと紘哉の事を睨んだ。

「それでも、さっきのは酷すぎるだろ!」

「何言ってるんだよ。第一、俺が解き明かしたトリックを、そのまま棒読みで言う奴があるかよ」

「ここにいるよ!」

「そう言う問題じゃねぇ!そんな奴に労いの言葉なんか掛ける価値もねぇよ」