意味のないやり取りをする。
一通り話を終えた後、ようやく恵一が二人を紹介し始めた。
「こっちの色々と黒い人間が、三雲紘哉。その隣にいるのが、妹さんの羽兎さんだ。
で、コイツは俺の幼なじみ。新井千尋」
「……よろしくお願いします」
恵一の紹介に少々不満を感じながら、紘哉は頭を下げた。
それに倣い、羽兎もお辞儀をする。
「初めまして。何にも無いところですが、ゆっくりしていってくださいね」
千尋が立ち上がり、三人をソファへ座るよう促す。
そして、ニッコリと微笑んだ。
肩まで伸びた髪。
細いフレームの眼鏡を掛けている。
紘子と同じ、少しつり目気味の目は嬉しそうに細くなっていた。



