「――潜入捜査!?」 車の中。 助手席に座っている黒いスーツの男が、驚いたように顔を上げた。 隣で運転している男が頷く。 黒いスーツの男は、ダッシュボードに資料を投げ出し、腕を組んで窓の外を見た。 途端に、運転席の男が声を上げる。 「何で機嫌悪くなるんだよ!」 「うるさい、黙れ。第一、潜入捜査するなんて話聞いてない」 「当たり前だ。今言ったもん」 助手席の男は、反省する気のない運転手をギロリと睨んだ。