光陰矢のごとし。
うだうだしている間に、時間はあっという間に過ぎていく。
気が付けば、夜も更けていた。

シャワーを浴び、ジャージに着替えて布団を敷く恵一。
彼は手を動かしながら、紘哉に尋ねた。

「なぁ、今日の午後、俺らのした事って何だ?」

「そりゃあ……事件の整理と、ポーカーとババ抜きと大富豪とスピードと……」

「結局トランプしかやってないよな、うん」

恵一が力無く笑う。
紘哉は呆れたようにため息をついた。

「……ホシはついたのか?」

「いや、全然分かんない。紘哉が三人まで絞ってくれたのはいいものの、何も分かんないんだよね。
シャワー浴びたのに、わざわざスーツ着てる理由ほど意味が分かんない」

「……」

最早、答える気もしない。
紘哉は立ち上がり、ドアに手を掛けた。

「どこ行くんだよ?」

「千尋さんの部屋」

「何で?」

「ちょっと忘れ物を取りに行ってくる」

チラリと恵一を見る。
目が合った瞬間、二人はニヤリと笑った。