羽兎も顔をしかめる。
そして、家を見上げた。
「これから三日間くらい、紘哉さんのこと『お兄ちゃん』って言わないといけないなんて……」
「気持ち悪いよな。俺も同じだ」
絶望的な顔をする紘哉。
後悔してももう遅い。
この家にいる限り、家族ごっこを押し通すしか無いようだ。
「取り敢えず、行きますか!」
恵一がニカッと笑う。
その時。
「……誰?」
背中から聞こえてきた声。
三人は一斉に振り返った。
そこには一人の少女が立っていた。
一斉に見られ、少したじろいでいる。
ショートカットの黒髪。
少しつり目気味の目が、更につり上がっている。
学校帰りなのか、格好は制服だった。



