こちらミクモ探偵事務所5


恵一がニヤニヤしながら紘哉の肩を叩く。
紘哉はそれを振り払うと、彼を軽く睨んだ。

「どう考えても、アレは俺が口を挟める状況じゃ無かっただろ」

「あれ?そうだっけ?」

「……」

ついさっきの事すら覚えていないらしい。
恵一は腕を組み、渋い顔で考え込む。
しかし、何かを思い出したようにすぐに手を叩いた。

「そういえば、俺さっきおじさんに会って、そこらへんの時間訊いてきたんだった!」

「何か都合がいいなぁ……」

羽兎が小さく呟く。
恵一は紘哉からペンを奪うと、信夫のアリバイの欄に時間を書き込んだ。

「……これで完璧だな」

紘哉は満足そうに頷いた。