恵一がニヤニヤしながら紘哉の肩を叩く。
紘哉はそれを振り払うと、彼を軽く睨んだ。
「どう考えても、アレは俺が口を挟める状況じゃ無かっただろ」
「あれ?そうだっけ?」
「……」
ついさっきの事すら覚えていないらしい。
恵一は腕を組み、渋い顔で考え込む。
しかし、何かを思い出したようにすぐに手を叩いた。
「そういえば、俺さっきおじさんに会って、そこらへんの時間訊いてきたんだった!」
「何か都合がいいなぁ……」
羽兎が小さく呟く。
恵一は紘哉からペンを奪うと、信夫のアリバイの欄に時間を書き込んだ。
「……これで完璧だな」
紘哉は満足そうに頷いた。



