こちらミクモ探偵事務所5




「取り敢えず、こんなもんだろ」

しばらく机に向かっていた紘哉がようやく顔を上げた。
途端に眠そうな顔をした二人が、紘哉の方をゆっくりと向く。

「……人が頑張ってるのに、何だよその変な顔は」

「だって、何も聞こえないんだもん。このMD」

羽兎が欠伸をしながら言う。
聞き始めてから45分程経つが、音楽らしい物は何一つとして聞こえてこなかった。

無音。
ただ、MDの時間が進んでいくだけだ。

「早送りしたいんだけどさ、もうここまで来たら何か頑張りたいんだよね!」

「はいはい。なら頑張れよ」

適当にあしらいつつ、もう一度メモを見る。
そして、紘哉は小さく唸った。

「信夫さんのアリバイだけ、時間訊いてくるの忘れた……」

「お前らしくないな!」