【李羽】


『――でねぇ、映画の後はゲーセン行ってプリ撮ったの!!』

『うわ、羨ましい〜。
彼氏とのプリ見せてよっ』


すぐ横の席の会話なのに、随分離れた場所からのように聞こえる。


また恋バナ。

休み時間は決まってこの話題。


今の女の子はそこまで愛に飢えてるの?


愛とか恋とか、
私には無関係な話。




私は学校が終わると、時々病院へ向かう。

特に深い意味はないよ。
ただ単にお母さんが病院で働いてるから。





『あッ!!
りー姉ちゃんだぁ』


ナースステーションへ近付くと、一人の少女が嬉しそうに抱きついてきた。


李羽【リウ】
が名前だけど、舌が上手く回らないのか"りー姉ちゃん"と呼ばれていた。


お母さんは総合病院の小児科の看護士。

何度か病院へ通う内に、入院中の子供とは自然と仲良くなれた。


お母さんの仕事が終わるまで、私はこの子達の遊び相手をしている。