それからは恭哉が中心になって話しながら、宿題をやっていた。

ここへ来て30分位経った時、1階からおばさんの呼ぶ声が聞こえた。


恭哉が廊下へ出る。

そして戻ってきたのかと思えば、ドアから顔を覗かせ

『ごめん。
ちょっと下行ってくる。
すぐ戻ってくるから』

そう言ってドアを閉めてしまった。





恭哉が出ていってしまい、蒼と2人っきりの部屋。

一気に静かになり、なんとなく気まずい。


恭哉…
早く戻って来ないかな。




『2人は付き合ってるの?』

蒼が唐突に口を開いた。

無意識にシャーペンを動かしていた手の動きが止まる。


一番聞かれたくなかったことを、この状況で聞かれるなんて…。




「ううん。
付き合ってなんかないよ。
どうして?」

なるべく平然を装い答える。
本心を悟られないように。



『だって、中学の時から恭哉の隣には李羽がいたから。もうそろそろ、付き合ったのかと思ったよ』

穏やかな口調だけど、その一つ一つが音を立てて心に突き刺さっていく。



「ただ仲良しなだけ。
恋人とか、そういう関係には…ならないと思うよ」

自分で自分を苦しめる言葉を発する。


今の私はどんな表情してるのかな?




『そっか。
確かに、仲良くなり過ぎると逆に恋愛対象にならない。って言うよね。でも…李羽はそれでいいの?』

蒼は静かに私を見つめる。


名前の通り、
真っ直ぐで澄んだ瞳。

怖くなって、私は目を逸らした。



"それでいいのか?"

そんなこと聞かれても、正直分かんないんだよ。

答えが出てくれない…
恐くて出せない。


私はどうすればいいの?