微妙な気持ちのまま、恭哉と家の前で別れた。


誰もいない、
静かな家の中。


制服から着替え、何をしようか考えていると恭哉からメールがきた。

"今から一緒に宿題やらない?"という感じの内容。


特にやることもないし、
一人だったから嬉しくて。

私はすぐに返事を送ると、宿題を持って、すぐ横の恭哉の家へ向かった。





「おじゃましま〜す」

すっかり見慣れたドアを開ける。


『お、来た来た〜』

いつもと同じように恭哉が迎えてくれた。

当たり前だけど、恭哉は私服。


恭哉のこんな姿見られる女子って、私だけだったりするのかな?

こんな考えが不意に頭をよぎる。


そう思うと、
少しでも優越感に浸っている自分が憎らしくなった。




『散らかってるけど、どーぞ』

片手にジュースを持ちながらも、恭哉は部屋のドアを開けてくれた。



そこには

『久しぶりだね』

そう微笑む蒼がいた。


――蒼。

同じクラスになったことはなかったけれど、中学は私達と同じ。

今は違う高校へ通っている。


私はそこまで親しい仲じゃなかったけど、恭哉とは今でも仲が良い。

こうして時々、恭哉の家に遊びにきている。

それがきっかけで、私も少しは話せるようになっていた。




『蒼、割と頭いいからさ。
宿題手伝ってもらおうと思って』

恭哉がジュースを小さな机に置く。

「あ、そっか。
蒼の高校、結構頭良いって評判だよね」

私は蒼と向かい合わせの場所に座った。