少ししたら予鈴が鳴った。
誰かと過ごした昼休みなんてかなり久しぶり。
もうちょっと一緒にいたかった…かな。
『ねぇ。
また休み時間会いに行っていいでしょ?』
立ち上がった由愛ちゃんから思いがけない一言。
「どうして?」
嫌な訳じゃないのに、咄嗟に聞き返してしまった。
『は?
べ、別にいいでしょ!!
一人でいるよりは、普通は誰かと一緒にいたい。って思うじゃない』
少し怒ったような言い方だけど、私のために言ってくれてるの?
「…ありがとう。
由愛ちゃんは優しいね。
私は誰かにそんなに優しくなんて出来ないよ」
グラスを持ち、私も席を立つ。
『何言ってんのよ。
あんたは多分、十分優しい奴なんじゃないの?』
「ううん。
優しくなんかないよ。
寧ろ、平気で人を傷付ける冷たい人間…」
自分のことを良く言う人はあまりいない。
例え本心では自慢していたり、自分を良く思っていても中々口には出さないもの。
でも私は…違う。
本心でも自分をいい子だとは思えない。
だって、本当にその通りのことを、私を助けてくれる恭哉に対してやってるんだから…
『そこまで…自分を悪く言う必要ないんじゃない?本当に冷たい奴は、他人のために四ツ葉なんて探さないよ』
一つ一つの言葉を慎重に選ぶような喋り方。
私を肯定してくれている。
私よりもずっと…
由愛ちゃんは優しい子かもしれない。
『それにね、本当に冷たい奴は自分で冷たいなんて言わないよ…。誰かや、何かに対しての罪悪感も…抱いたりしないわ』
由愛ちゃんは窓の外を見つめていた。
何かを軽蔑するような眼差しで。
あなたが本当に軽蔑していたのはこの世界?
それとも…
自分だったのですか?
