次の日。

あたしはまたみんなの輪の中心で笑っていた。


休み時間になると、自然とあたしの席には人が集まる。


笑顔を作りっぱなし。
いい加減疲れてきた。

学校では完璧少女を演じるあたし。



それはお昼休みのこと。


『ね、知ってた?
1組の野上っているじゃん。
あの派手な子。あいつ、援交してるらしいよー。しかも相手はオヤジばっかり!!』

お弁当をつまみながら、アカネが大袈裟に言った。


あたしは内心ビクリとして、思わずお弁当を食べる手を止めた。



『マジで?
やだ、汚ぁい』

『オヤジばっかって趣味悪ッ!』

『ツッコミ所違うし!!』

みんなも便乗するように野上をけなす。




あんたらが噂のネタにしてる子と、同じ事してる奴が目の前にいるんだけど?

そう考えるとバカらしくて笑えてきた。



『あたしも援交してるよ』

なんて言ったら、みんな一体どんな顔するんだろう。


多分口にした途端、あたしから離れていくんでしょ?

"汚い"そう思って、あたしを白い目で見るに決まってるわ。


この子達は、あたしの外見しか見てない。

所詮上べだけの付き合い。

今の関係なんて、
ほんの少しの歪みで驚く程簡単に崩れていくのでしょう。





『由愛ちゃんも、信じられないよね?!』

エリコが話をふってきた。

驚いて箸を落とすかと思った。


「うん…ちょっとね」

何とか平然を装い、
受け流しておく。


「でも…何か理由があるのかもしれないよね。援交なんてしていい訳ないけど、野上さんにだって理由はあるんじゃないかな?」

あたしは無意識の内に、野上を庇うようなセリフを口にしていた。