なんでこんな白い雰囲気を持つ奴が、あんな闇に堕ちた群れに混じっていたんだろう。


「あんた、なんであんなとこにいたのよ。あんた売れないホスト?」

『こんなジーンズ姿のホストいると思う?』

少年はおどけたように首を傾げた。



『俺は兄貴がホストやってんの。忘れ物届けに行ってただけだよ』

妙に納得できた。

顔は綺麗だけど、お人好しな性格のこいつにホストは似合わない。


こいつはこの白い部分を失わずに、大人になっていけるんだろうか。




「それで、偶然あたしを見付けて助けたって訳ね」

『うん、まぁね。
でも、それだけじゃない気もするな』

「他に理由でもあるっていうの?」

意味深な言葉。

その続きが気になって、あたしは先を促す。


少年は肩の力を抜いたように笑ってから言った。


『時々さ、自分と似た空気っていうのかな?そういうのを他人から感じることってない?』

一見、意味不明だけど、こいつが何を言いたいかは分かった。



「あるわね。
あたしは、あの通りにいる奴等から同じ空気を感じてる」

『でしょ?
俺は何故か…君からそれを感じた気がしたから』

白い少年の純粋な瞳に映る真っ黒なあたし。


あたしとこいつは絶対に真逆な存在だと思う。

こいつが似てるのは…
あの少女よ。




『それに、君は俺が知ってる女の子になんとなく似てたんだ』

そう言って少年ははにかんだ。

よく笑う奴。
あたしなんか滅多に笑わないのに。