少し悩んだ後、あたしはそのネックレスを買った。
別にあの子のためとか、そんなんじゃない。
ただ単に自分の癖を信じただけ。
夕方、マヤと別れて家への帰り道を歩く。
いつもなら夜まで遊んで、そのまま一人であの通りへ行く。
けど、今日だけは不思議とその気になれなかった。
あの河原に着いた。
川が夕焼け色に染まっててキラキラして―‐
本当に綺麗な景色。
もう、
帰ったはず。
そう思いながらも辺りを見回す。
やっぱり姿はなかった。
見付かったのか、諦めたのかは分かんないけど。
一体、何を期待してたんだろう…。
何故か切ない気分になった時―
『じゃ〜ん!!』
探していた声と共に、
目の前に何かが現れた。
「キャッ…ちょっと何すんのよ!」
あたしは少女の手を掴んでどける。
手首の細さに驚いた。
『ぁ、ごめんね?
それより見てよ〜』
少女が右手を差し出す。
その指先は
「…これ、四葉…?」
2本の四葉を摘んでいた。
『うん!!
見付かったんだよ』
朝とは違い、声を弾ませながら四葉をクルクル回す。
「あっそ。
そんな草探すのに今まで時間費やしてたなんて。笑っちゃうわ」
あたしはやっぱり毒しか吐かない。
本当はちょっと驚いてるのに、変なとこで意地を張ってる。
『あ、2時くらいには2本目も見付けたんだよ』
少女は得意気に言った。
「2時?
もう、4時間も前よ。
…なんでまだここにいたの?さっさと帰れば良かったのに」
嘘だ。
会えるかな、と本当は期待してた。
こんなことが言いたい訳じゃないのに…。
あたしのそんな嫌味に対しても少女は嫌な顔を見せない。
逆に嬉しそうな顔で言った。
『あなたに1本あげようと思って』
心に染みていく言葉。
すごく心地いい感覚。
今まで、誕生日に友達から高いブランドの服を貰っても…こんな気持ちにはならなかったよ。
