『あっ。
これ超可愛いー!!
ね、由愛どう?』
マヤが気に入ったらしい服を自分にあてる。
蛍光ピンクじゃん。
相変わらず派手好きだな…。
「いいんじゃない?
よく似合ってるよ」
作り物の笑顔を貼り付け、本心とは逆のことを口にする。
『キャー、マジで!!
由愛はセンスいいもんね。買っちゃおっ』
ノリノリでマヤはレジへ向かった。
あたしがセンスいい?
表面しか知らないクセにいい加減なこと言わないでよ。
あたしなんかと買い物して何が楽しいんだろう。
ふと、アクセが飾られた棚へ視線を移す。
シンプルなクローバーのネックレスに目が釘付けになる。
あの子、
見付かったんだろうか?
時計を見ると、あれから3時間は経っていた。
さすがにもう…
いや、あの子ならまだ平気で探してる気がする。
他人のためにわざわざ四葉なんか探さなくてもいいのに…。
こんな風な思考を持つあたしは、つくづく心の狭い奴だと思う。
『おっ待たせー。
あ、由愛それ買うの?』
戻ってきたマヤがあたしの手を指差す。
無意識の内に、あたしはネックレスを手の中に納めていた。
「ぁ…ちがうよ。
ちょっと手に取っただけ」
『そっか。
でも由愛って、気に入ったやつはいつも無意識の内に握ってるよね』
笑いながらマヤが言った。
自分でも知らなかった。
あたし、そんな癖あったんだ。
じゃあ―
これも気に入ったってこと?
"プレゼントしたい"
なんて今まで心から思ったことなかったのに。
名前すら知らない子のために、買おうか悩んでいた自分に笑えてきた。
