『ごめんね…』

少女はシュン…としおれた花のように俯く。


普段のあたしなら、他人の仕草なんて意識しないのに、今は罪悪感を感じた。



「絡みづらい奴ね。
そこまで気にしてないわ。
あんた、なんなの?
こんな何もないとこで、何やってんの?」

こんな子無視すればいいのに、あたしは会話を続けるような質問をしていた。




『四葉、探してるの』

返ってきた答えに拍子抜けする。


見たところ、背格好はあたしと同じくらい。
多分この子も高校生だろう。


この年にもなって真剣に四葉探しだなんて。

本当に珍しい。




「そんなの探してるの?
まさか、"四葉見つけたら幸せになれる"とでも思ってんじゃないでしょうね?
冗談じゃないわ。
草探した位で幸せになれたらね、この世界に不幸なんてないの。綺麗事言ってんじゃないわよ」


自分でも驚いたけど、
珍しく感情的に一気に喋った。

内容は心の貧しい奴が口にする冷めたものだけど。




あたしは綺麗事が言えるような純粋な子じゃない。

どちらかと言えば、
綺麗事を否定するひねくれ者。


本当にこんな自分が大嫌い。

こんな風にバカにしてるんだから、もうこの時点で幸せになんてなれない。






少女はあたしのセリフに目を丸くした後、小さく笑い声を漏らした。


「ちょ、バカにしてんの?!」

『ううん、ちがうよ。
その通りだなぁって思って』

あたしの考えに同意したことに素直に驚いた。



『私もそう思うよ。
だって、私が四葉見つけたとしても…幸せになれない。でも、純粋にそれを信じてる子がいるの。だから見付けてあげたいんだ』

さっきまでとは違う、
真っ直ぐで力強い声。