棘姫

酷いことを言ってるのも自覚してる。


でも、あたしは…自分を守るのに必死だった。周りにいる人を傷付けてでも、今の自分を保とうとしていた。


誰かを正しい道へ導くということは、とても勇気がいる行動なのにね…





「あんたを見ると…リュウジの面影が蘇る。もう、あたしに関わらないで」


シュウを直視出来ないまま早口でそう告げると、あたしはその場を去った。


シュウがどんな顔をしてたのか、あたしは知らない。

ただ背中を追い掛けてくる視線だけは、寂しくて、とても痛く感じた。