『……ごめん』

なんとも情けない、小さな声でそう呟くと、シュウはあたしの鞄を広い上げ差し出してきた。



「だからっ、
なんであんだが謝るのよ」

意味なんてないのに、罪悪感に満ちた表情のシュウを見ると、何故かイラついてくる。

ひったくるように、あたしはシュウから素早く鞄を受け取った。




『だって、もしかしたらリュウを止められたかも――』

「”もしかしたら”なんていらない。現にあたしはレイプされたの。あいつに襲われたのよ?!取っ替え引っ替え女作って寝てるあんたなんかに、今更同情されたって嬉しくない!!」


『でも、だからって援交なんかすんのは間違ってんだろ?!』

シュウが訴えるような瞳であたしを見た。




さっきから妙にイライラが積もっていく。


何に対してなのか、本当は気付いてるよ。シュウに対してなんかじゃない。

あたしは…自分に嫌気がさしてきて、あたし自身にイラついてるんだ。




今更だけど、援交なんて本当はしちゃダメな事くらい分かってるんだ。


でも、あたしにはこれ以外にリュウジへ…正確には男に復讐する方法が思い付かなかった。

ちぃちゃんを助ける方法を思い付けなかった。





だから、今になってシュウに優しい言葉をかけたれたら、援交してる自分の惨めさに、愚かさに、汚さに…

とてもじゃないけど、自分一人の力では立っていられなくなるんだよ…