一気に何も考えられなくなって、ただ涙が流れた。



それに対しリュウジは

『…面倒臭い女。
ほら、これでいいだろ』


そう言って何も纏っていない姿のあたしに向かい、2万円を投げつけた。




『ま、2万なんて由愛には多すぎるかもな』

嘲笑を浮かべながら捨てゼリフを吐くと、リュウジは部屋から出ていった。




こんなことしておいて…お金やるから納得しろってこと?

お金さえ渡せば全て解決出来るとでも思ってんの?



そう思うと、さっきまでとは別の意味で更に涙が溢れてきた。

苦しくて、悔しくて、悲しくて、怖くて…

あたしは投げつけられた2万円をビリビリに破った。




リュウジの部屋でずっと泣き続けていたあたしを、助けてくれたのがシュウ。


『よーやく由愛とヤれた』

リュウジからこんなバカな報告を受け、嫌な予感がして様子を見にきたらしかった。




あの夜に起きた出来事こそが、今のあたしを生んだ。

ちぃちゃんがお金に困っていることは前々から知っていた。


高校に入ってすぐ、あたしは夜の街へ向かった。


目的は、援助交際。


もう汚れているからなのか、心は既に麻痺していて。

知らない男に抱かれるという事に、不思議とあまり抵抗はなかった。