「あたしに何が出来るって言うのよ。元々男を信じないあたしには…掛ける言葉も見付からないわ」

あたしは吐き捨てるように言った。



『やっぱりまだ、トラウマっていうか…あいつとの事根に持ってんの?』

シュウは深刻な顔になる。


「許せるわけないでしょ。
ま、心を壊してくれたお陰で罪悪感を感じずに、お金を手に入れられるようになったけどね」

皮肉っぽく言って、鼻で笑ってやった。



完璧な八つ当たり。

シュウにこんなことしたって、何かが始まるわけでもなく、ましてや終わるわけでもないのに…





『…ごめん』

小さな声で、突然シュウが言った。


「なんであんたが謝るの?」

『だって…あいつが愚痴ってたの知ってたから。”由愛が中々ヤらせてくれない”って』

言いにくそうに、言葉を濁しながら俯く。



『他にもツレがいたんだけどその時みんな酔ってて…ふざけ半分に”なら、無理矢理ヤれば?”とか言ってたんだよ』

「…はッ。
あんた達、最低ね」

軽蔑するような視線を送る。シュウは何も言い返してこない。

事実だから、言い返せるわけがない。



「それであいつはそれを実行したってわけ?その結果今のあたしが生まれたんじゃない!!」

珍しく大声をあげながら、シュウの足元に向かって持っていた鞄を叩き付けた。