相変わらず人で溢れかえっている通り。


酔って、笑って…

ここへ来れば一時の淡く甘い夢が与えられる。



みんな笑顔で接客している。

その仮面の下には、どんな表情・想いが隠されているんだろう。




シュウに教えられた店があるビルが見えてきた。


座り込み何かブツブツ呟いている少女。

そんな少女をなだめている少年。

ビルの前には人影が2つ。




『あ、由愛!!』

あたしに気付いたシュウが片手を挙げた。


――シュウ。

彼も同い年。
下の名前しか知らない。

元々は…あたしの元彼を通して知り合った。


赤が混じったような茶髪に、細身の体型。

人懐っこい笑顔をする。


性格はフレンドリー。

"来る者拒まず去る者追わず”というのがしっくりくる。

話題も豊富なのでいろんな女から気に入られていた。


あたしも一度寝たことはある。

ま、はっきり言ってそこまで関わりたくはないんだけれど。




「ミノリは?
大丈夫なの?」

急かすように聞くと、苦笑いを零しながらシュウは目線を下げる。

道には座り込むミノリ。



『さっきまで荒れてたんだけどさ。やぁ〜っと落ち着いてくれたんだ』

シュウの言葉を聞き流しながら、あたしも屈む。