次の日の帰り道。
私は、全部彩夏に話すことを決意した。
今日おこるはずだった出来事。
昨日の涼希の反応。
今まで、私が涼希の
相談にのっていた時のアイツの表情。
あのハニかんだ笑顔。
私自身、ドキッとしたあの表情を…。


「あのね、彩夏。ちゃんと伝えたよ?」
「!!?…そっか(笑)ありがとう。」

彩夏は笑顔だったけど、
その笑顔は、どこか寂しげだった。
そこからは、自分でも覚えていないくらい、
必死に今までのことを伝えた。
その間、彩夏は、照れたり怒ったり忙しそうだった。
わかってたよ。
必死に自分の気持ちを隠してたんだよね?

全部を話し、ふと彩夏を見た。
すると彩夏は、話し始めた。


「よかったんだよ。これで。」
その瞬間。
糸が切れたみたいに勢いよく彩夏は話し始めた。

「…なんで?なんで好きな者同士が結ばれないの?最後まで優しいんだから…。涼希は…。
タイミングが悪すぎるよ…。もう…いやだよ。」


彩夏は、我慢していたものが全部溢れてきたように
泣き始めた。
今まで辛いことが立て続けに起きていても
人前では見せなかった涙を流し始めた。
彩夏は、どんなに辛くても、
人に辛いとか、泣き言を絶対に言わなかった。
ずっと人前では、笑って元気なように装っていた。
やっと、彩夏が自分に素直になれてよかった。

私は、そんな彩夏のそばにいながら、何もできなかった。
黙って一緒にいることしか出来なかった。