~恋歌side~

私は、彩夏が好きだ。
明るくて、優しくて、気取らなくて、面白くて…。

だから、今の彩夏を見ているのは、辛かった。
いつも、いつも、彩夏ばっかり傷付いていて…。

なんでこの世界は、いい人ほど、
人のために動いてる人ほど、傷付かなきゃいけないの?
なんで?
本当に神様は、不平等だよ。理不尽だよ。

あんなことがあったあの日。
彩夏は私を驚かせる発言をした。

恋「…そっか。」
彩「うん。だからお願い。涼希に…涼希に全部話して?」
恋「え?…いいの?彩夏、だって、アイツ」
私が最後まで話すまで待たずに彩夏は、今にも泣きそうに言った。
彩「いいの!!!いいんだよ。もう…。わかってるよ。そんなこと。ちゃんと覚悟してる。」
恋「…わかったよ。」


なんでよ?あと3日だよ?3日後までには、
涼希か彩夏に告白するのに。
私は、3日後までに涼希が告白する事は彩夏に伝えていなかった。
さすがにそれは、伝えることじゃないから。
それを知っていたから、
彩夏の決断は辛くてならなかった。


さらに、涼希に伝えるなんて嫌だった。
伝えることが嫌なんじゃなくて、
これ以上、大切な人達が傷付くのが嫌だった。
でも…結果伝えなくては、ならないのなら
早い方がいいだろう。


だから私は、伝える事を決断した。
涼希。ごめんね。
彩夏。ごめんね。
二人が辛いの知っててごめんね?
茜が涼希を好きな事を伝えたら涼希が決めることなんてわかってるよ?
だからそれが、一番嫌だった。
わかってて、
やらなきゃいけないのが嫌で仕方がなかった。