『ピンポンパンポン……………♪え―、姫川、姫川藍羅。至急、生徒会室まで来なさい。以上』


いきなり呼び出された。帰ろうとしてたのに。



「七瀬ぇ…………」
「………行ってら」
「うぅぅ……………」

私はがっくりと肩を落として、生徒会室に向かった。あぁ、行きたくない。




―生徒会室―
「失礼しま―す………」
恐る恐る生徒会室の扉を開ける。すると。


「どうも、姫川藍羅さん。会長の、高橋要です」

椅子に座って私に軽く微笑んだのは、我が学校の超優秀生徒会長の、高橋要だった。
私と同じクラスだけど、怖くて話したことなかった。女子には『王子様』なんて呼ばれてる。
まぁ、確かにルックスはかっこいい。



「私に、用ですか」

「あぁ、ごめん。そうだった。姫川さんって、帰宅部だよね?」

…………だから呼んだのか。雑用係か、私は。


「はい、そうですけど」

「…………姫川さんって、何で帰宅部なのかな」


…………なんだ?
なんでこんなこと聞いて………………。
人と関わりたくないからなんだけど。


「それに、学年行事も毎回欠席してるよね」


……………それも。
人が怖いから、今まで参加してない。


「あと、中学からずっと帰宅部。だけど、身体に異常はないし」

「………………」



私が様子を伺っていたそのとき、聞きたくない言葉が口に出された。



「……………君、中学の最初に、同じクラスの男子にいじめられて、大怪我をしたことがあったよね?俺、そのとき君と同じクラスだったから、知ってるよ」


「……………!?」

私の身体がビクリと震える。つい、動いてしまった。
「………っ、なんで、それを今………」

私の反応を見て、高橋君は薄く笑った。

「先生も、君の友人が少なすぎることを気にしているんだよ」

先生………っ、そんなの気にしなくても!
余計なお世話だ!





確かに私は、中学のときから口数が少なかった。
だから、クラスの男子にいじめを受けてた。
そして、私が重度の人見知りになった原因。




階段から落とされて、1度左腕を骨折した。


私が救急車で運ばれたときの男子の笑顔が、忘れられない。怖かったんだ。



「………………で、提案なんだけどさ」

固まっている私に声を掛ける高橋君。


「俺が、人見知りと男ギライ、治してあげる」