声をかけずに帰ろうと思った。 勇気がなかったから。 だけど、このままでいいわけがない。 そう思ったんだ。 「結稀!」 本当に大声を出さなきゃ聞こえないくらいの距離から、私は彼の名前を呼んだ。 結稀は驚いた顔で立ち上がる。 「なんでいるんだよ!」 結稀も大声で返事をする。 私はその先の言葉が見つからなかった。 結稀は一瞬川の向こう岸に目をやると、私のところに走ってきた。 目の前まで来ると、結稀は一息ついて少しだけ遠くを見ながら話し始めた。