「知紘泣いてたんだ・・・。」


「そりゃ泣くでしょ。友達が目の前で倒れて真っ青な顔してるんだから。」


「そうだよね。」


「・・・俺、そのあと病院行ったんだよ。」


先生の口から思いがけない言葉を聞いてすごく驚いた。


「えっ・・来てくれたの?」


「うん。でも知紘さん送っていったあとに行ったから、もう消灯時間過ぎてて・・・病室の前までしか行けなかった。」


「そうなんだ・・・その時私もう意識戻ってたよね。」


「大口開けて寝てたよ。」


「さっき病室の前までしか来れなかったって言ったじゃない!」


「ははは・・冗談だよ。でも、元気になってよかった。」





先生は本当に喜んでくれた。


だけど、「俺のせい」と言った先生の顔を思い出すと今でも切なくなる。



AOの試験まで時間がない。



私はまた先生との面接の練習に励むことになった。



今思うと、本当にあの頃の私は毎日先生のところに行っていたと思う。



受験が近かったから当たり前だけど・・・。





だけど、廊下やPC室で会っても言葉ひとつかけることもなかった。



心のどこかで、担任でも何でもない先生と話してるのはおかしいって自分で思ってたのかもしれない。