「はい、取れた」 「あ、ありがとうございます」 「駅に向ってたってことは、帰るの?」 「あ、はい。え~っと、すみません。今日はこれで帰ります」 「名前、教えてくれる?」 「? 駅のですか?」 「ぶっ。違うよ。君の」 「あ。ああ、川口眞緒、と申します」 「眞緒ちゃんか」 「面白い子だなあ」と目尻を下げた先輩は、顔を傾けて、あたしの顔をのぞき込んできた。