「今日はもう、ウロウロしないこと」 「……はい、時間まで大人しくしてます」 ははっと笑った先輩は、 片手をひらひらと振って来た道を戻っていった。 「……あれ? 生協に用があるって言ってなかったっけ?」 何にも買わないで行っちゃったけど。 「そう言えば……階段の下から来たんだよね、先輩」 『そこに行くところだった』なんて言ってたけど、 行くんじゃなくて、戻ってきた感じだったよね? もしかして、わざわざあたしのことを運んでくれた?