「とにかく……自分が受け持った生徒には、絶対合格してほしかったんだ。
少しやり過ぎたのかもしれないな。意地になって」
「ハル兄……いつも一生懸命だもんね。そういうハル兄だから、先生になってくれてすごく嬉しかったのに……、あたしが勝手に不安になってただけだよ」
「ホントにごめんな」
「ううん、あたしの方だよ、謝るのは。……ごめんなさい」
「お前は悪くないよ」
「ハル兄が悪いんじゃないよ」
「ごめんな」
「ごめんね」
「……」
「……」
「なんか、謝ってばっかだな」
「そだね」
お互いにふっと笑いが漏れると、空気が和んだ。


