「あたしね……」
「うん?」
「ハル兄の部屋に女の子がいたことをオネエに話したらね、いろいろ言われて。
もちろん、ハル兄のこと信じてなかったってわけじゃないけど、ハル兄のこと、取られちゃったらどうしようとかだんだん不安になってきて……。
流川さんと唯衣さんの仲良しな姿も見ちゃったから……、部屋に戻ってからも、ハル兄にかまってもらえないのが寂しくて……」
改めて、あの日の眞緒の悲しそうな姿を思い出す。
机に向かうオレの後ろで、所在なげに立ちつくしていたことも分かっている。
なのにオレは、あえて相手をしなかった。
それよりも、目の前の仕事で頭がいっぱいだった。


