「良く考えなさい」



ぼそっと言ったオネエが、すたすたと店の前に戻っていく。


すれ違うようにして歩いてきた先輩は、あたしの顔を心配そうにのぞき込んだ。



「眞緒ちゃん? 行ける?」


「あ……はい」



この肉、どうしよう……と思ったけど、そっとバッグにしまい込んで先輩を見上げると、



「良かった」



ぱっと笑った村瀬先輩は、



「ケーキの美味しいお店に行こうか?」


「……ケーキ」


「うん、誕生日だし。何でも好きなのごちそうするよ」


「はい……」



心の中でおばさんに謝りつつ、あたしは先輩にうなずいていた。