“――ちゃーん……?” その時ふと、遠くの方で声がした。 「そこにいるー?」 あ……この声、菜月ちゃん? 触れる直前だったあたしと先輩の唇は、その声に引き戻された。 「邪魔入っちゃったな」 苦笑する先輩を前に、あたしはうつむくしかない。 ……あたし……今……、先輩と、キスしようとした。 拒もうと……しなかった……。